2016/08/03

カマキリはよくわかっている

住まいはマンションの3階で、そのルーフバルコニーでプランターや鉢を置いて唐辛子やちょっとした野菜や植物を育てている。なので、地上に近いわけでもないし、大地に比べれば微々たる土面積だけれど、多少の土や緑があるところには自然界が発生するのらしくけっこう色々な虫がやってくる。

イモムシや毛虫がいたりするのはわかる。チョウチョや蛾などがやって来るから。不思議だなと思う虫の1つは、カマキリ。しかも、初夏の初登場の際は赤ちゃんサイズ。すごく小さい。ある日突然植物の葉っぱにいる。昨年もいたけれど一体どうやってやって来たのか。

大人サイズのカマキリはサイズも大きいし、鎌も大きいし、顔(あの目)も怖いし、体の形も奇妙だし、迫力ある昆虫でそれを自覚しているように態度も鷹揚で、関わりたいと思わないのだけれど、

赤ちゃんサイズの時は別モノのようにかわいい。
ちっちゃくて、でもちゃんと三角形の顔とその三角形の端っこに目があって、小さな鎌を持ち上げて、背中を反らせてお尻をぴんと上に上げていて、あまりのかわいさについつい指で突ついてしまう。そして逃げ足は大変に早い。動きも速度も浜辺の蟹並み。

この天敵が多いだろう赤ちゃんサイズの時は、餌にするのであろうアブラムシなどが発生しやすい植物(大葉とか)を住まいとしている。

少しすると、赤ちゃんカマキリの脱皮したあとの抜け殻を見つけたりする。抜け殻はほっそーい触覚まできれいに脱皮していて自然の神秘を感じた。人間が同じ物を作ろうとしたら大変な技術と労力が必要だと思うが、自然はあっさりとやってしまう。

サイズがもう少し大きくなって、小さな昆虫を捕食できるくらいになってくると活動場所を唐辛子に変える。

最初は、なんで唐辛子なんだろう?と思っていた。アブラムシもつかないし、その他虫もいないのに、食べ物がなくて弱ってしまうんじゃないかと思って、カマキリをつまんでアブラムシがついている他の植物に移動させたりしていたけど、やはりすぐに唐辛子へ戻って行く。

そして、その理由を最近発見した。

唐辛子は毎日毎日白い花を咲かせるので、ぶんぶんぶんと蜂が日々やって来る。ミツバチも来れば、アシナガバチみたいなのもやって来る。


唐辛子の白い花


ミツバチが唐辛子の白い花に近寄ったところ、潜んでいたカマキリがヒョイっと飛び出てきてなんとミツバチに抱きつくように捕獲したのだ。あー(なるほど!)と思って、同時にあの鎌、鎌として使えるようになったんだなぁと感慨深く観察した。

両者ともだいたい同じくらいのサイズで、ミツバチも必死にぶんぶんと空中で暴れて、カマキリからはどうにか逃れたものの、襲撃によるダメージがあったらしくポトリと床に落ち、飛ぼうとしていたけれどうまく飛べないようだった。

その後、回復して飛んだのか、カマキリが落っこちているのを見つけて食べに来たのかはわからないけれど、数時間後にはミツバチの姿はなくなっていた。

毎日白い花を咲かせる唐辛子にいれば、毎日蜂がやって来るわけで、獲物には困らないと知っているらしかった。賢い。私は無知な御節介野郎であった。ごめん。

(門内ユキエ)





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